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【重要事項説明】建築基準法第53条第4~6項|まだまだある建蔽率の緩和や適用除外!しっかり理解してがっちり土地利用。宅建・土地取引・投資のノウハウ!!

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こんかいは建築基準法第53条第4~6項(指定建蔽率の緩和や適用除外)についてです。

建蔽率」については、いろんな規定があり詳細に理解するには、経験と知識が必要です。

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しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。

これが重要なのです。

内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。

それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 建蔽率とは

建築基準法第53条第1項(建蔽率

建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。

一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、田園住居地域又は工業専用地域内の建築物 10分の3、10分の4、10分の5又は10分の6のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

二 第一種住居地域、第二種住居地域準住居地域又は準工業地域内の建築物 10分の5、10分の6又は10分の8のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

三 近隣商業地域内の建築物 10分の6又は10分の8のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

四 商業地域内の建築物 10分の8

五 工業地域内の建築物 10分の5又は10分の6のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

六 用途地域の指定のない区域内の建築物 10分の3、10分の4、10分の5、10分の6又は10分の7のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道県都市計画審議会の議を経て定めるもの

 

建蔽率とは、「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のことです。

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自分の土地を無駄なく使いたいと考える人もいるでしょう。

しかし、建蔽率が高すぎる家は防災や風通しの観点から望ましくありません。

そこで、ある程度の空地を設け、ゆとりある建物を誘導する目的で、建築基準法によって建蔽率に制限が設けられています。

 

建蔽率とは=敷地面積に対する建築面積の割合

 

建蔽率の算定例)

敷地面積:100㎡

建築面積: 50㎡

建蔽率(%)=100㎡÷50㎡*100=50%

 

あれ、建蔽率は都市計画で定められていない?という方、そのとおりです。

次に、都市計画と建蔽率の関係について説明します。

建蔽率の制限は地域ごとに都市計画にて指定され、そこを住宅地域にするのか、はたまた商業地域にするのかといった使い道は各市町村により細かく分類されています。

用途地域」として13種類、それぞれ建蔽率の制限が微妙に異なっています。

 

 

 

3 建築基準法第53条第4・5項とは?

建築基準法第53条第4項(一定の建築物の建ぺい率制限の緩和)

4 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で定める壁面の位置の制限(隣地境界線に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び隣地境界線に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。)がある場合において、当該壁面線又は壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。次項において同じ。)で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、前三項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、前三項の規定による限度を超えるものとすることができる

 

建築基準法第53条第5項(一定の建築物の建ぺい率制限の緩和)

5 次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、第一項から第三項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる

一 特定行政庁が街区における避難上及び消火上必要な機能の確保を図るため必要と認めて前面道路の境界線から後退して壁面線を指定した場合における、当該壁面線を越えない建築物

二 特定防災街区整備地区に関する都市計画において特定防災機能(密集市街地整備法第二条第三号に規定する特定防災機能をいう。次号において同じ。)の確保を図るため必要な壁面の位置の制限(道路に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び道路に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。同号において同じ。)が定められた場合における、当該壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物

三 第六十八条の二第一項の規定に基づく条例において防災街区整備地区計画の区域(特定建築物地区整備計画又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。)における特定防災機能の確保を図るため必要な壁面の位置の制限が定められた場合における、当該壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物

 

★建ぺい率制限の合理化

隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合または条例で定める壁面の位置の制限がある場合において、当該壁面線または壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、その許可の範囲内において、法定の建ぺい率規制を緩和できるという規定です。

 

壁面線等の説明については、次の記事を参考にしてください。

ossan358.hatenablog.com

 

 

 

4 建築基準法第53条第6項とは?

建築基準法第53条第4項(建ぺい率が適用されない建築物)

6 前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

一 防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等

二 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの

三 公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの

 

① 第1種住居地域、第2種住居地域準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、商業地域で、建ぺい率の限度が80%とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

② 巡査派出所・公衆便所・公共用歩廊その他これらに類するもの

③ 公園・広場・道路・川その他これらに類するもののうちにある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障のないと認めて許可したもの

については、建蔽率が適用されないこととなっています。

 

不動産関係に携わっている方は、「防火地域内の耐火建築物は建ぺい率は適用されない」とする認識かと思います。これがが建築基準法第53条第6項の規定からきたものです。

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

首都圏では建蔽率の緩和や適用除外がされるとメリットが非常に高いので不動産取引における重要事項説明では間違いがないように抑えておきたいポイントとなります。

土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建蔽率も必ず伝える義務があります。建蔽率は理想の住まいを考えるうえで、欠かせない知識です。

それをきちんと理解できていないまま販売してしまうと「希望する広さの建物が建てられないことが後から分かった」なんてことにも・・・。

この他にも、建蔽率に指定については、指定建蔽率以外に地区計画で定められているケースや開発行為で別途定められているケースもあるので、建築設計時や不動産取引では特に注意が必要です。

更に、容積率・建ぺい率のほかにも敷地の条件に合わせて守るべき、下記のように規模を制限する法律があります。

少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。

一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認することが必要です。

不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。