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こんかいは建築基準法第53条第2項(用途地域にまたがる場合の建蔽率)についてです。
「建蔽率」については、いろんな規定があり詳細に理解するには、経験と知識が必要です。
しかしながら、どのような規定があるのか概要を理解しておけば、そのような物件に巡り合ったときに気づきが生まれます。
これが重要なのです。
内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引や建築設計において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
建築士試験、重要事項説明などにおいて必須の知識となりますので、こちらの記事が参考になれば嬉しいです。
それでは、わかりやすくポイントを絞って解説します。
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 建蔽率とは
建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、田園住居地域又は工業専用地域内の建築物 10分の3、10分の4、10分の5又は10分の6のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
二 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内の建築物 10分の5、10分の6又は10分の8のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
三 近隣商業地域内の建築物 10分の6又は10分の8のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
四 商業地域内の建築物 10分の8
五 工業地域内の建築物 10分の5又は10分の6のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
六 用途地域の指定のない区域内の建築物 10分の3、10分の4、10分の5、10分の6又は10分の7のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
建蔽率とは、「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のことです。
自分の土地を無駄なく使いたいと考える人もいるでしょう。
しかし、建蔽率が高すぎる家は防災や風通しの観点から望ましくありません。
そこで、ある程度の空地を設け、ゆとりある建物を誘導する目的で、建築基準法によって建蔽率に制限が設けられています。
建蔽率とは=敷地面積に対する建築面積の割合
(建蔽率の算定例)
敷地面積:100㎡
建築面積: 50㎡
建蔽率(%)=100㎡÷50㎡*100=50%
あれ、建蔽率は都市計画で定められていない?という方、そのとおりです。
次に、都市計画と建蔽率の関係について説明します。
建蔽率の制限は地域ごとに都市計画にて指定され、そこを住宅地域にするのか、はたまた商業地域にするのかといった使い道は各市町村により細かく分類されています。
「用途地域」として13種類、それぞれ建蔽率の制限が微妙に異なっています。
3 敷地が複数の用途地域(指定建蔽率が異なる)にまたがる場合の建蔽率
建築基準法第53条第2項
2 建築物の敷地が前項の規定による建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
建築物の敷地が複数の用途地域(指定建蔽率が異なる)にまたがる場合の建蔽率の算定方法について定めているのが建築基準法第53条第2項の規定になります。
重要な部分は、「各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たもの」の部分です。
いわゆる加重平均ですね。
計算例を参考に敷地全体の建蔽率を計算してみましょう。
(計算例)
例えば、こちらの敷地の場合、敷地面積が1,000㎡でS1が600㎡、S2が400㎡とします。
敷地A:面積400㎡ 建蔽率60%
敷地B:面積200㎡ 建蔽率80%
全体:面積600㎡ 建蔽率?%
それぞれの建蔽率
敷地A=400㎡×60%=240㎡
敷地B=200㎡×80%=160㎡
敷地A+B=400㎡=敷地全体で使える最大の面積
敷地全体の建蔽率=400㎡÷600㎡=66.667%
簡単な計算ですね。
土地取引を行う土地が複数の用途地域にまたがる場合には、敷地の測量を行い必ず詳細に計算して算出する必要があります。
用途地域がまたがる場合、境界線の敷地のどの部分に入っているかは各自治体の窓口で確認する必要があります。根拠となる資料や考え方を教えてくれます。
その方法は各自治体で異なりますが、昔ながらの境界確認や復元を行ってくれる自治体は少なくなってきています。(敷地の測量図の精度や根拠が担保できない場合や、業者の理解度が問題のようですが・・・。)
この確認業務を行わないと正確な建蔽率(容積率)の算定を行うことはできません。
根拠が必要だからです。
4 まとめ
いかがでしたか?
建蔽率には上乗せできる緩和条件というものがあります。
建蔽率80%の地域以外で、火災を防いだり危険を除いたりすることを目的にした「防火地域」の「耐火建築物」であれば、用途地域で規定されている建蔽率に10%加えることが可能です。
「角地」の敷地であれば、延焼を防止して、風通しにも支障がないと考えられるため、建蔽率を10%加えることができるなど、土地や建物の条件によって制限が緩和されることもあります。
このあたりは、別の記事で説明をしていきます。
土地の仲介業者は購入希望者に対して、その土地がどの「用途地域」に属するかとあわせて、建蔽率も必ず伝える義務があります。建蔽率は理想の住まいを考えるうえで、欠かせない知識です。
それをきちんと理解できていないまま販売してしまうと「希望する広さの建物が建てられないことが後から分かった」なんてことにも・・・。
この他にも、建蔽率に指定については、指定建蔽率以外に地区計画で定められているケースや開発行為で別途定められているケースもあるので、建築設計時や不動産取引では特に注意が必要です。
更に、容積率・建ぺい率のほかにも敷地の条件に合わせて守るべき、下記のように規模を制限する法律があります。
少しでも疑問がある場合は、事前に建築確認の部署(機関)に確認し法チェックをしておきましょう。
一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、きちんと窓口などで内容を確認することが必要です。
不動産の取引・設計や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。