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こんかいからは地域地区のひとつ特別用途地区についてです!!
種類のたくさんある地域地区ですが、この記事は土地利用における補完的ルールでもある『特別用途地区』のにおける規制及び緩和についてです。
土地利用に関しては、その地域により重層的に土地利用のルールが定められています。深く理解する必要はありませんせんが、図のようなルールの関係性と役割のイメージをもっておくことが重要です。
用途地域とおなじように都市計画法による指定と建築基準法による建築制限が、関連して運用されます。
両方の内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法)
二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 特別用途地区とは
特別用途地区は、都市計画法第9条第14項に規定する「地域地区」の一つです。
その目的は、次のように規定されています。
〔都市計画法第9条第14項〕
特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしいと土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区とする。
特別用途地区は、用途地域が指定されているエリアに重ねて指定し、用途地域の制限だけでは不十分な場合に、さらに細かい制限を加えたり、緩めたりする特別な地区です。
なので、用途地域の指定がないエリアに単独で指定されることはありません。
地域の実情に応じて臨機応変に、市町村が定められるようになっています。
これまでの例をあげると次のような地区があります。
①特別工業地区:地場産業の保護や、公害を防ぐために立地すべき工業の業種・業態を限定する地区
②文教地区:学校などの文化教育施設を集め、その環境を守る地区
④事務所地区:官公庁や事務所を集める地区
⑤厚生地区:医療施設・社会福祉施設などの厚生環境を保護する地区
⑥娯楽・レクリエーション地区:レクリエーション施設などを集める地区
⑦観光地区:観光地において旅館やホテルを集め、利便性を高める地区
⑧特別業務地区:流通業務施設などを集める地区
⑨中高層階住居専用地区:都心部の定住人口を増やすために、建物の中高層階を住宅用途に誘導する地区
⑩研究開発地区:研究開発施設を集める地区
⑪商業専用地区:商業施設を集め、利便性を高める地区
では、次に建築基準法における特別用途地区の記載を見てみましょう。
3 建築基準法における特別用途地区について
〔建築基準法第49条〕
特別用途地区内においては、前条第1項から第13項までに定めるものを除くほか、その地区の指定の目的のためにする建築物の建築の制限又は禁止に関して必要な規定は、地方公共団体の条例で定める。
2 特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、前条第1項から第13項までの規定による制限を緩和することができる。
第1項の規定は、特別用途地区の具体的な用途の制限について、自治体の条例で定めることになります。
第2項の規定は、13用途地域における制限の内容を緩和する場合の規定です。
自治体の条例により緩和することも可能になっていますが、注意点は国土交通大臣の承認が必要となることです。
4 特別用途地区の活用例
近年の少子・高齢化の中で、目指すべき都市像の実現のために、用途地域の段階的移行の手段として特別用途地区の活用や検討がされている自治体も増えてきています。
(久留米市土地利用誘導方針:抜粋)
■特別用途地区の指定方針
商住工混在地域における環境の改善
商業施設、工場、住宅が混在する地区で、地域の歴史文化や地域活力の保護・増進のために必要な施設がある場合は、地域特性を考慮し、施設の利便性や周辺環境との調和を図りつつ地場産業の保護又は育成を図るため特別用途地区を指定します。
また、工場と住宅が混在し、居住環境の悪化が問題視される地域においては、良好な居住環境の形成を図るために、今後工業系用途の増加を抑制し、段階的に住居系用途への移行を進める特別用途地区を指定します。
5 まとめ
いかがでしたか?
このサイトをご覧いただいている方は既にお分かりかと思いますが、都市計画法と建築基準法は密接な関係にあります。
特別用途地区に指定のみでは意味をなさず、具体的な制限は建築基準法に基づく自治体の条例で定めることになっていることからも分かると思います。
特別用途地区の内容は、地区によってことなります。
一概にホームページのパンフレットだけでは読み解けない部分もあるため、特別用途地区の指定がある場合は、きちんと窓口などで内容を確認し理解解しましょう。
疑問がある場合は、建築計画の前に、確認するようにしましょう。
不動産の取引や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。