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【重要事項説明】土地利用規制の基礎ルール!最新版の用途地域一覧と『工業専用地域』の建築制限についてわかりやすく解説(シリーズ第13弾)~工業専用地域ではなにが建築できるのか?

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こんかいはシリーズ13弾!!用途地域の説明については最後です。今回も工業系用途地域になります。

その中でも、この記事は土地利用における基礎ルールでもある『用途地域』のうち『工業専用地域』についてです。

工業専用地域とは【用途地域の制限と実例】

用途地域については、都市計画法による指定と建築基準法による建築制限が関連して運用されます。

両方の内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

今回は、シリーズ13弾として、都市計画法で指定される「用途地域」とその中でも『工業専用地域』における「建築制限」についてわかりやすく解説しています。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

法令の詳細は下記のサイトで確認を>>

888.fubenkyou.net

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 建築物別の用途制限一覧

用途地域は、都市計画法に基づき指定(都市計画決定)されることで建築基準法第48条が適用され、建築基準法に基づき建築物の用途の制限が適用されます。

現時点で、用途地域は13種類あり、住居系、商業系、工業系の3つに大きく分類されます。

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この一覧表は、概要を抜粋されているもので、全ての内容を掲載しているものではないため、詳細は確認をする必要があります。

それでは、今回はこの中で『工業専用地域』の建築制限について解説します。

 

 

 

3 工業専用地域とは

工業地域は、都市計画法第9条13項において、次のように規定されています。

第九条(地域地区):抜粋

13 工業専用地域は、工業の利便を増進するため定める地域とする。

工業専用地域は、都市計画法において、「工業の利便を増進するため定める地域」とされています。工業地域との違いは、最初の”主として”が無いだけです。

つまり、工業の利便増進に関わる建築物以外は建築することができません。

そのため、建築基準法において制限する建築物の用途もそのようになっており、住居系の建築物の建築ができないといった規定となっています。

次に、工業専用地域内における建築物の制限の内容についてみてみます。

 

 

 

4 工業地域内の建築物の制限

第四十八条(用途地域等):抜粋

13 工業専用地域内においては、別表第二(わ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が工業の利便を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

 

建築基準法において、これら地域の制限については「建築してはならない建築物」として規定されています。

なお、建築基準法第48条において、特定行政庁による例外許可規定が設けられており、特定行政庁による裁量のもと建築することが可能です。

 

4-1 工業地域内の用途制限

工業地域は、建築基準法第48条第13項→法別表第2において具体的な建築物の用途の制限が定められています。

 

[工業地域内に建築してはならない建築物]

一     ・工業地域内で建築してはならない建築物    ・(を)項

二     ・住宅

三     ・共同住宅

   ・寄宿舎

   ・下宿

四     ・老人ホーム

        ・福祉ホーム

        ・上記に類する用途  

五     ・物品販売業を営む店舗

        ・飲食店     

六     ・図書館

        ・博物館

        ・上記に類する用途  

七     ・ボーリング場

         ・スケート場

        ・水泳場

        ・スキー場

        ・ゴルフ練習場

        ・バッティング練習場

          *令第130条の6の2

八     ・マージャン屋

        ・ぱちんこ屋

        ・射的場

        ・勝馬投票券発売所

        ・場外車券売場

        ・上記に類する用途  

 

4-2 工業専用地域内での保育所の建築

国土交通省が発出している技術的助言により保育所は、建築することが可能です。

保育所などは工場への勤務者に必要な施設であり立地が必要と解釈されています。

都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(平成5年住指発第225号)」抜粋

第四 用途地域について

「〜(略)〜保育所等については、工場勤務者等に必要不可欠な通園施設であり、工業専用地域内でも建築が可能であることに留意されたい。

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

工場のための地域で、どんな工場でも建てられますが、住宅・お店・学校・病院・ホテルなどは建てられません。

そのため、景観や街並みが大きく変わってくるため、住環境も大きく異なります。

建築する建築物の用途が工業系用途地域でも建築できるかどうかは、特定行政庁や建築主事の判断になります。

疑問がある場合は、建築計画の前に、確認するようにしましょう。

不動産の取引や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。