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こんかいはシリーズ12弾!!用途地域の説明についてもあと2つになりました。今回も工業系用途地域になります。
その中でも、この記事は土地利用における基礎ルールでもある『用途地域』のうち『工業地域』についてです。
用途地域については、都市計画法による指定と建築基準法による建築制限が関連して運用されます。
両方の内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。
不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。
今回は、シリーズ12弾として、都市計画法で指定される「用途地域」とその中でも『工業地域』における「建築制限」についてわかりやすく解説しています。
1 建築基準法における重要事項説明事項とは?
重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。
「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。
調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。
くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!
対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。
2 建築物別の用途制限一覧
用途地域は、都市計画法に基づき指定(都市計画決定)されることで建築基準法第48条が適用され、建築基準法に基づき建築物の用途の制限が適用されます。
現時点で、用途地域は13種類あり、住居系、商業系、工業系の3つに大きく分類されます。
この一覧表は、概要を抜粋されているもので、全ての内容を掲載しているものではないため、詳細は確認をする必要があります。
それでは、今回はこの中で『工業地域』の建築制限について解説します。
3 工業地域とは
工業地域は、都市計画法第9条12項において、次のように規定されています。
第九条(地域地区):抜粋
12 工業地域は、主として工業の利便を増進するため定める地域とする。
工業地域は、環境を悪化させるおそれがある工場や危険物の貯蔵・処理の量が多い施設の立地が可能となっており、工業専用地域と並んで”工業”のための用途地域となっています。
4 工業地域内の建築物の制限
第四十八条(用途地域等):抜粋
12 工業地域内においては、別表第二(を)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が工業の利便上又は公益上必要と認めて許可した場合においては、この限りでない。
建築基準法において、これら地域の制限については「建築してはならない建築物」として規定されています。
なお、建築基準法第48条において、特定行政庁による例外許可規定が設けられており、特定行政庁による裁量のもと建築することが可能です。
4-1 工業地域内の用途制限
工業地域は、建築基準法第48条第11項→法別表第2において具体的な建築物の用途の制限が定められています。
一 (ぬ)項第三号に揚げるもの
・個室付浴場業に係る公衆浴場
・ヌードスタジオ
・のぞき劇場
・ストリップ劇場
・専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
・専ら性的好奇心をそそる写真その他の物品の販売を目的とする店舗
・その他、上記に類するもの。
・(る)項第三号:施行令第130条の9の5
ニ ホテル又は旅館
・ホテル
・旅館
三 キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これ
らに類するも の・キャバレー
・料理店
・上記に類するもの :料理店:食堂やレストランなどではなく風俗営業法に規定する料理店
四 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
・劇場
・映画館
・演芸場
・観覧場
・ナイトクラブ
・客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客の接待をするものを除く。)を営む施設(ナイトクラブを除く。):施行令第130条の7の3
五 学校
・学校 *幼保連携型認定こども園を除く
六 病院
七 店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券
売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築
物でその用途に供する部分の床面積の合計が一万平方メートルを
超えるもの
5 まとめ
いかがでしたか?
ホテル・旅館、風俗関係、学校以外は、住宅での建築可能な地域が工業専用地域です。
建築する建築物の用途が工業系用途地域でも建築できるかどうかは、特定行政庁や建築主事の判断になります。
疑問がある場合は、建築計画の前に、確認するようにしましょう。
近年、工場の跡地にマンション建設されることが多くなっています。
工場の敷地が広くマンション建設に適していること、地価が安いことが理由として上げられますが、あくまでも住居のための地域ではないことは理解しておく必要があります。
重要事項では、工場や比較的規模の大きい店舗などの立地や騒音・振動等の問題の将来リスクを伝えておくことで、未然にトラブルを防止しておく保つ用があります。
不動産の取引や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。