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【重要事項説明】土地利用規制の基礎ルール!最新版の用途地域一覧と『準工業地域』の建築制限についてわかりやすく解説(シリーズ第11弾)~準工業地域ではなにが建築できるのか?

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こんかいはシリーズ11弾!!用途地域の説明についてクライマックスです。今回からは工業系用途地域になります。

その中でも、この記事は土地利用における基礎ルールでもある『用途地域』のうち準工業地域についてです。

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用途地域については、都市計画法による指定と建築基準法による建築制限が関連して運用されます。

両方の内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

今回は、シリーズ11弾として、都市計画法で指定される「用途地域」とその中でも準工業地域』における「建築制限」についてわかりやすく解説しています。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

条文は下記を参考に確認してください。>>

888.fubenkyou.net

 

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 建築物別の用途制限一覧

用途地域は、都市計画法に基づき指定(都市計画決定)されることで建築基準法第48条が適用され、建築基準法に基づき建築物の用途の制限が適用されます。

現時点で、用途地域は13種類あり、住居系商業系工業系の3つに大きく分類されます。

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この一覧表は、概要を抜粋されているもので、全ての内容を掲載しているものではないため、詳細は確認をする必要があります。

それでは、今回はこの中で準工業地域』の建築制限について解説します。

 

 

 

3 準工業地域とは

準工業地域は、都市計画法第9条11項において、次のように規定されています。

第九条(地域地区):抜粋

11 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域とする。

 

準工業地域は、工業系用途地域のなかでも危険性や環境の悪化がない工業であれば立地ができる地域になります。

よく準工業地域だったらなんでも立地できるの!(?)で良かったとの声もありますが、本当でしょうか?

逆に買い手側にとっては、将来のリスクが大きい地域ともいえます。

その理由を建築制限の内容から確認してみましょう!

 

 

 

4 準工業地域内の建築物の制限

第四十八条(用途地域等):抜粋

7 準住居地域内においては、別表第二(と)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が準住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

 

建築基準法において、これら地域の制限については「建築してはならない建築物」として規定されています。

なお、建築基準法第48条において、特定行政庁による例外許可規定が設けられており、特定行政庁による裁量のもと建築することが可能です。

 

4-1 準工業地域内の用途制限

準工業地域は、建築基準法第48条第11項→法別表第2(と)項において具体的な建築物の用途の制限が定められています。

基本的には危険性のある薬品や規模の大きい工場、個室付浴場(ソープ)は建築する事はできないこととなっています。

それ以外については建築することが可能です。

 

準工業地域内に建築してはならない建築物]

1 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を害するおそれがないものとして政令で定めるもの(自動車用の圧縮天然ガスなど)を除く。)を営む工場

  1. 火薬類取締法の火薬類(玩具煙火を除く。)の製造
  2. 消防法第2条第7項に規定する危険物の製造(政令(未制定)で定めるものを除く。)
  3. マッチの製造
  4. ニトロセルロース製品の製造
  5. ビスコース製品、アセテート又は銅アンモニアレーヨンの製造
  6. 合成染料若しくはその中間物、顔料又は塗料の製造(漆又は水性塗料の製造を除く。)
  7. 引火性溶剤を用いるゴム製品又は芳香油の製造
  8. 乾燥油又は引火性溶剤を用いる擬革紙布又は防水紙布の製造
  9. 木材を原料とする活性炭の製造(水蒸気法によるものを除く。)
  10. 石炭ガス類又はコークスの製造
  11. 可燃性ガスの製造(政令(アセチレンガス等)で定めるものを除く。)
  12. 圧縮ガス又は液化ガスの製造(製氷又は冷凍を目的とするものを除く。)
  13. 塩素、臭素、ヨード、硫黄、塩化硫黄、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、燐(りん)酸、苛性カリ、苛性ソーダアンモニア水、炭酸カリ、洗濯ソーダソーダ灰、さらし粉、次硝酸蒼(そう)鉛、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩類、砒(ひ)素化合物、鉛化合物、バリウム化合物、銅化合物、水銀化合物、シアン化合物、クロールズルホン酸、クロロホルム、四塩化炭素、ホルマリン、ズルホナール、グリセリン、イヒチオールズルホン酸アンモン、酢酸、石炭酸、安息香酸、タンニン酸、アセトアニリドアスピリン又はグアヤコールの製造
  14. たんぱく質加水分解による製品の製造
  15. 油脂の採取、硬化又は加熱加工(化粧品の製造を除く。)
  16. ファクチス、合成樹脂、合成ゴム又は合成繊維の製造
  17. 肥料の製造
  18. 製紙(手すき紙の製造を除く。)又はパルプの製造
  19. 製革、にかわの製造又は毛皮若しくは骨の精製
  20. アスファルトの精製
  21. アスファルト、コールタール、木タール、石油蒸溜(りゆう)産物又はその残りかすを原料とする製造
  22. セメント、石膏(こう)、消石灰生石灰又はカーバイドの製造
  23. 金属の溶融又は精練(容量の合計が50ℓを超えないるつぼ若しくは窯を使用するもの又は活字若しくは金属工芸品の製造を目的とするものを除く。)
  24. 炭素粉を原料とする炭素製品若しくは黒鉛製品の製造又は黒鉛の粉砕
  25. 金属厚板又は形鋼の工作で原動機を使用するはつり作業(グラインダーを用いるものを除く。)、びよう打作業又は孔(あな)埋作業を伴うもの
  26. 鉄釘類又は鋼球の製造
  27. 伸線、伸管又はロールを用いる金属の圧延で出力の合計が四キロワットを超える原動機を使用するもの
  28. 鍛造機(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造
  29. 動物の臓器又は排せつ物を原料とする医薬品の製造
  30. 石綿を含有する製品の製造又は粉砕
  31. (1)から(30)までに掲げるもののほか、安全上若しくは防火上の危険の度又は衛生上若しくは健康上の有害の度が高いことにより、環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進する上で支障があるものとして政令政令未制定)で定める事業

2 危険物の貯蔵又は処理に供するもので政令で定めるもの(火薬類、マッチ、圧縮ガス、液化ガス、可燃性ガス、第一〜四石油類)

3 個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令で定めるもの(ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設、専ら性的好奇心をそそる写真その他の物品の販売を目的とする店舗その他これらに類するものなど)

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

混在できるがゆえに、住環境の悪化、比較的郊外部にあることが多い準工業地域への大規模な店舗の立地など、都市のコントロールの大きな阻害要因となっている地域も多く、特別用途地区などにより規制を別途設けている自治体もおおくあります。

特に、中心市街地活性化法に基づく計画の認定を国から受けている自治体は、準工業地域へ大規模集客施設(床面積が1万㎡超)の立地を制限する特別用途地区の指定等を行っています。

窓口調査では用途地域だけでなく、別の規制がないかよく確認しておきましょう。

都市構造への影響が大きい準工業地域でありますが、その分、使い勝手が良いは間違いありません。土地所有者や投資家、売り手側からすると、比較的規模の大きい土地利用が可能となり、魅力的な地域となります。

しかしながら、特に戸建て住宅を検討している買い手側に、工場や比較的規模の大きい店舗などの立地や騒音・振動等の問題の将来リスクを伝えておくことで、未然にトラブルを防止しておく保つ用があります。

物件として魅力の高い準工業地域の不動産の取引や投資の際には、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。