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【重要事項説明】土地利用規制の基礎ルール!最新版の用途地域一覧と『田園住居地域』の建築制限についてわかりやすく解説(シリーズ第8弾)~田園住居地域ではなにが建築できるのか?人口減少下における新たな土地利用~

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こんかいはシリーズ第8弾!!住居系用途地域も最後の解説になりました。

 

土地利用における基礎ルールでもある『用途地域』のうち『田園住居地域についてです。

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用途地域については、都市計画法による指定と建築基準法による建築制限が関連して運用されます。

両方の内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

今回は、シリーズ第8弾として、都市計画法で指定される「用途地域」とその中でも『田園住居地域』における「建築制限」についてわかりやすく解説しています。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

条文は下記を参考に確認してください。>>

888.fubenkyou.net

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 建築物別の用途制限一覧

用途地域は、都市計画法に基づき指定(都市計画決定)されることで建築基準法第48条が適用され、建築基準法に基づき建築物の用途の制限が適用されます。

現時点で、用途地域は13種類あり、住居系、商業系、工業系の3つに大きく分類されます。

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この一覧表は、概要を抜粋されているもので、全ての内容を掲載しているものではないため、詳細は確認をする必要があります。

それでは、今回はこの中で『田園住居地域』の建築制限について解説します。

 

 

 

3 田園住居地域とは

田園住居地域は、都市計画法第9条第8項において、次のように規定されています。

第九条(地域地区):抜粋

8 田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

 

平成28年5月に都市農業振興基本法に基づく「都市農業基本計画」が策定され、~都市農地は都市にあるべきもの~ との位置づけに見直されたことによりつくられた一番新しい用途地域です。

そのため、低層住居並みの規制内容になりますが、都市計画法第9条第8項となっており、それ以降が条項ズレを起こしました。

人口減少が進んでいるなかで、市街化区域内農地が宅地に転用されることがないよう、農業との調和を目指したのが、この田園住居地域です。

 

 

 

4 田園住居地域内の建築物の制限

第四十八条(用途地域等):抜粋

8 田園住居地域内においては、別表第二(ち)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が農業の利便及び田園住居地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

 

住居系用途地域としては、第一種・第二種低層専用住居地域と同様に制限が厳しい地域となっています。

『建築してはならない建築物』が列挙されており、列挙されている以外の用途に供する建築物を建築することが可能です。

なお、建築基準法第48条において、特定行政庁による例外許可規定が設けられており、特定行政庁による裁量のもと建築することが可能です。

 

4-1 田園住居地域内の用途制限

田園住居地域では、主に低層住居専用地域と同様の規制を受けることとなっています。このため、住居系の建物を建てるのに適した制限がなされますが、建物の高さは10m(もしくは12m)までとなるため、基本的には2階建てまでしか建てられません。

 

★田園住居地域内において建築することができる用途

  • 第一種低層住居専用地域内で建築することができる建築物は建築することが可能
  • 農産物の生産、集荷、処理、貯蔵に供する建築物(ただし、農産物の乾燥・処理にて著しい騒音を発生させるもの:H30国交告236で指定するものを除く)
  • 農業の生産資材の貯蔵に供するもの
  • 地域で生産された農作物の販売を主たる目的とする店舗や飲食店で床面積が500㎡以内(当該用途部分は2階以下)のもの:政令第130の9の4に規定
  • 店舗や飲食店で床面積が150㎡以内(当該用途部分は2階以下)のもの:政令第130条の5の2(第二種低層住居専用地域に同じ)
  • 附属施設(政令で定める者を除く):令第130条の5

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

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店舗については、日用品販売店舗や喫茶店、理髪店など限られた用途の建物しか建てられません。

反面、田園住居地域のみの特徴として農産物直売所や農家レストラン(500m2以下)を建てられるようになっています。

文教施設については、幼稚園、小中高校まで建てられますが、大学や専門学校等は建てられず、また、医療施設については病院を建てることができません。

倉庫は、建築物に付属する車庫に限り600m2まで建てられる他、田園住居地域のみの特徴として、農産物および農薬の生産資材を貯蔵する倉庫が建てられ、工場については農産物を精算、集荷、処理するものに限り建てられることになっています。

また、田園住居地域では、開発規制委があり、農地を造成したり、農地以外にものに用途変更したりする場合に市町村長の許可が必要となります。また、市街地環境を大きく改変するおそれがある一定規模(300m2程度)以上の開発は原則不許可とすることとされています。

農業との調和を図りために、低層住居系の規制に農業施設の立地ができるように緩和されたように思いますが、開発の対象になるなど厳しい面も多くなっています。

不動産の取引や建て替えの際などには、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。