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【重要事項説明】土地利用規制の基礎ルール!最新版の用途地域一覧と『第一種中高層住居専用地域』の建築制限についてわかりやすく解説(シリーズ第3弾)~第一種中高層住居専用地域ではなにが建築できるのか~

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こんかいはシリーズ第3弾!!

土地利用における基礎ルールでもある『用途地域』のうち『第一種中高層住居専用地域』についてです。

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用途地域については、都市計画法による指定と建築基準法による建築制限が関連して運用されます。

両方の内容を理解しておかないと、買主からの「このような用途や大きさの建築はできるの?」との質問に正確に答えることができません。

不動産取引において都市計画や建築基準法の制限を説明する際には正しい根拠とその内容を正確に買主に伝える必要があります。

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今回の記事では、シリーズ第3弾として、都市計画法で指定される「用途地域」とその中でも『第一種中高層住居専用地域』における「建築制限」についてわかりやすく解説しています。

 

 

 

1 建築基準法における重要事項説明事項とは?

重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第2号に掲げる内容を説明する必要があります。

宅建業法施行令第3条第1項第2号(重要事項説明:建築基準法

二 建築基準法第39条第2項、第43条、第43条の2、第44条第1項、第45条第1項、第47条、第48条第1項から第14項まで(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第49条の2(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第50条(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項から第8項まで、第53条の2第1項から第3項まで、第54条、第55条第1項から第3項まで、第56条、第56条の2、第57条の2第3項、第57条の4第1項、第57条の5、第58条、第59条第1項及び第2項、第59条の2第1項、第60条第1項及び第2項、第60条の2第1項、第2項、第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)及び第6項、第60条の2の2第1項から第3項まで及び第4項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第60条の3第1項、第2項及び第3項(同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第61条、第67条第1項及び第3項から第7項まで、第68条第1項から第4項まで、第68条の2第1項及び第5項(これらの規定を同法第88条第2項において準用する場合を含む。)、第68条の9、第75条、第75条の2第5項、第76条の3第5項、第86条第1項から第4項まで、第86条の2第1項から第3項まで並びに第86条の8第1項及び第3項

 

「エッ」と思うぐらい多いですが、このうち都市計画や建築基準法に基づく指定や認可状況、条例などを調査し、該当する事項を説明することになります。

調査方法としては、都市計画課(法)や建築指導課(法)などを担当する窓口にて確認することとなります。

くれぐれも「どれが対象ですか?」などの尋ね方はやめましょう!

対象となる窓口にて確認して内容を理解し、説明が必要な事項を洗い出して整理するのが資格者の責務です。「役所がいったから。」では役割を果たしていません。

 

 

 

2 建築物別の用途制限一覧

用途地域は、都市計画法に基づき指定(都市計画決定)されることで建築基準法第48条が適用され、建築基準法に基づき建築物の用途の制限が適用されます。

現時点で、用途地域は13種類あり、住居系、商業系、工業系の3つに大きく分類されます。

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この一覧表は、概要を抜粋されているもので、全ての内容を掲載しているものではないため、詳細は確認をする必要があります。

 

それでは、今回はこの中で『第一種中高層住居専用地域』の建築制限について解説します。

 

 

 

3 第一種中高層住居専用地域とは

都市計画法第9条第3項において、次のように規定されています。

第九条(地域地区):抜粋

3 第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。

 

中高層住宅の立地を図りながら、住宅系用途を中心に良好な住宅街区を形成していく地域となっています。

なお、一定の小〜中規模飲食店や店舗(※一覧表参照)の立地も可能となっています。

住居系用途地域としては、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域に次いで制限が厳しい地域です。

 

第一種中高層住居専用地域内の用途制限については、「建築することができる建築物」が列挙されています。

ただし、建築基準法第48条において、特定行政庁による例外許可があります。

 

 

 

4 第一種中高層住居専用地域内の建築物の制限

第一種中高層住居専用地域では、建築基準法第48条第3項に『建築することができる建築物』として、限定して規定されています。

第四十八条(用途地域等):抜粋

 3 第一種中高層住居専用地域内においては、別表第二(は)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

具体の建築物の用途制限については、法別表第2(は)項に規定されています。

 

4-1 第一種中高層住居専用地域内で建築することができる建築物

①(い)項第一号から第九号までに掲げるもの

  • 一種低層住居専用地域内で建築することができる建築物(住宅、併用住宅、学校、神社、保育所、診療所など)

 

②大学、高等専門学校専修学校(専門学校)その他これらに類するもの

  • 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域では建築することができませんが、第一種中高層住居専用地域では建築することが可能です。

 

③病院

  • 病院とは、病床が20以上ある施設のこと。
  • 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域では建築することができませんが、第一種中高層住居専用地域では建築することが可能です。
  • 診療所と病院は用途制限上、別です。

 

老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの

 

⑤店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が500㎡以内にもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く)

床面積500㎡以下、以下の用途は2階以下とする。

  • 第二種低層住居専用地域内で建築することができる用途の店舗等
  • 物品販売業を営む店舗(風営系施設を除く)、飲食店
  • 銀行の支店、損害保険代理店宅地建物取引業を営む店舗その他これらに類するサービス業を営む店舗

 

⑥自動車車庫で床面積の合計が300㎡以内のもの又は都市計画として決定されたもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く)

  • 単独車庫も300㎡以内であれば可

 

⑦公益上必要な建築物で政令で定めるもの

  • 税務署や警察署、保健所、消防署等(建築基準法施行令第130条の5の4に規定)

 

⑧上記に附属する建築物

  • 附属車庫(3階以上の部分に車庫がないこと。かつ床面積の制限あり。)
  • 政令は、建築基準法施行令第130条の5の5に規定。
  • 基本的には、3,000㎡(同一敷地内の建築物の合計の延べ面積が3,000㎡以下の場合は、その延べ面積)以下

 

 

 

5 まとめ

いかがでしたか?

 

第一種中高層住居専用地域は、第二種低層住居専用地域と異なり、主に大学、高等専門学校専修学校や病院が建築することが可能となっている点が特徴です。

単独での建築は不可能で、建築したい場合には、併用住宅とする必要があります。

 

これまでの解説を読んで『第一種中高層住居専用地域』についてわかりましたか?

主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域ですが、用途などの制限が多く存在しています。

不動産の取引や建て替えの際などには、買主や施主の要望を十分に理解して、リスクを回避するためにも理解をしておく必要がありますね。