近頃の大雨等による水災害の激甚化・頻発化を受け国では国では特定都市浸水被害河川対策法が改正されています。
これに伴い改正宅建業法施行令についても改正があり、従来より重要事項の説明対象が増えています。
この記事は、令和3年11月1日に施行された「特定都市浸水被害河川対策法」に関わる重要事項説明の内容について、対象とその概要についてわかりやすく解説します。
1 改正宅建業法施行令の改正
特定都市浸水被害河川対策法関係の改正に伴い、宅建業法施行令第3条第1項第19の2が改正されました。令和3年11月1日に施行されています。
(特定都市浸水被害河川対策法関係)
宅建業法施行令第19条の2(令和3年11月1日施行)
十九の二 特定都市河川浸水被害対策法第24条、第30条、第37条第1項、第39条第1項、第46条第1項、第52条 、第55条第1項、第57条第1項、第62条第1項、第66条及び第71条第1項
従前の重要事項説明においては、特定都市河川浸水被害対策法第9条、第16条第1項、第18条第1項、第25条第1項及び第31条が対象でしたが、特定都市河川浸水被害対策法が大きく改正されました。
今回の改正により6つ増えて合計で11項目の内容を説明する必要が生じています。
2 重要事項説明の対象概要
法改正に伴い増えた分も含め、重要事項の説明対象について、簡単に解説します。
各対象の詳細については、確認をしてください。(このブログでも、随時解説予定です。)
特定都市河川浸水被害対策法
①第24条(管理協定の効力*管理協定雨水貯留浸透施設)
- 雨水貯留浸透施設の管理協定(地方公共団体と施設所有者)
- 管理協定の公示後、協定施設の施設所有者等又は予定施設所有者等となった者に対しても、その効力があるものとするもの。
②第30条(雨水浸透阻害行為の許可)
- 特定都市河川流域内
- 宅地等以外の土地(1,000㎡以上)
で雨水の浸透を著しく妨げる恐れのある行為をする場合には都道府県知事等許可を要するもの。
③第37条第1項(雨水浸透阻害行為の変更許可)
- 上記第30条の変更許可
④第39条第1項(雨水貯留浸透施設の機能を阻害するおそれのある行為の許可)
- 雨水貯留浸透施設(法第38条第2項の検査を受けたもの)について、埋立てや建築等を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要となるもの。
⑤第46条第1項(行為の届出等*保水調整池)
⑥第52条(管理協定の効力*管理協定調整池)
- 保水調整池の管理協定(地方公共団体と池所有者)
- 管理協定の公示後において協定池の所有者等又は予定所有者等となった者に対してもその効力があるものとするもの。
⑦第55条第1項(行為の届出等*貯留機能保全区域内)
- 貯留機能保全区域内
- 盛土、塀の設置などの行為で当該土地が有する河川の氾濫に伴い浸入した水又は雨水を一時的に貯留する機能を阻害する行為を行う者は、行為着手の30日前までに都道府県知事等に届出を行うもの。
⑧第57条第1項(特定開発行為の制限(許可)*浸水被害防止区域内)
- 浸水被害防止区域内
- 開発行為を行おうとする者は開発行為を行う前に都道府県知事等の許可が必要となるもの。
⑨第62条第1項(特定開発行為の制限(変更の許可等)*浸水被害防止区域内)
- 上記第57条第1項の変更許可
⑩第66条(特定建築行為の制限(許可)*浸水被害防止区域内)
⑪第71条第1項(特定建築行為の制限(変更の許可等)*浸水被害防止区域内)
- 上記第66条の許可
3 まとめ
いかがでしたか?
「いきなり6つも増えてわからないよ」という方も、概要を確認してみるとそんなに難しいものではないかと思います。
近頃の災害の状況などにより、ハザードの説明だけでなくその内容にも踏み込んだものとなっています。
不動産の取引については、今後、買主へのリスクの説明として重要度が増していく部分になっています。
後々のリスク回避のためにもきちんと理解して、調査しておくべきでしょう。