海岸法は該当ないだろうと考えている方!そうではありません。
海岸法は、海の部分だけでなく海岸から一定の距離まで該当する可能性があります。
グランピングや別荘、景色のいい住宅など人気の高い不動産も対象になるかもしれません。
クライアントとトラブルにならないよう十分に確認しておきましょう。
この記事では、不動産取引において重要事項説明の対象とる「海岸法(海岸保全区域)」について分かりやすく解説しています。
1 海岸保全区域とは?
海岸法の目的
津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もつて国土の保全に資することを目的とする。
海岸とは、港湾内の海岸、漁港内の海岸、干拓地等の農地に隣接する海岸というように複数種類があります、それぞれ管理者が異なっています。
海岸法では、海岸保全区域にて津波や高潮などに対して海岸の防護することを目的とする法律に基づき海岸管理者が指定するエリアを指定しています。
海岸保全区域は、原則、陸側は満潮時の水際線から50m以内、海側は干潮時の水際線から50m以内に指定されます。
ただし、地形、地質、潮位、潮流等の状況により必要やむを得ないと認められるときは、50mを超えて指定可能となっています。
そのため、沿岸部に発展してきた都市や漁村に指定されている可能性が高いのです。
2 海岸保全区域内での行為制限
(海岸保全区域における行為の制限)
第8条 海岸保全区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、海岸管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令(施行令第2条に規定されており公共的工事などは許可対象外となっている)で定める行為については、この限りでない。
一 土石(砂を含む。以下同じ。)を採取すること。
二 水面又は公共海岸の土地以外の土地において、他の施設等を新設し、又は改築すること。
三 土地の掘削、盛土、切土その他政令で定める行為(施行令第3条:木材その他の物件を投棄し、又は係留する等の行為で海岸保全施設等を損壊するおそれがあると認めて海岸管理者が指定するもの)をすること。
海岸保全区域内では、海岸法第8条に基づき土砂の採取や土地の掘削、盛土などを行う場合には、海岸管理者の許可を受けなければならないとされています。
行為を行う前に海岸管理者の許可を受けなければならないとされていますので、海岸保全区域内において法令に規定する行為や法第8条第1項第三号の海岸管理者が指定する行為を行おうとする場合には、海岸管理者に対し事前確認を確実に行う必要があります。
ただし書きが規定されていますが、これは公共工事等によるものです。
ですので、民間にて建築するための土地の掘削などは許可が必要となってくる可能性があります。
3 海岸保全区域の調査方法
海岸保全区域を調べる方法としては、各県の窓口やホームページにて検索する方法があります。
なお、申請書は施行規則(省令)で定められていないため、各海岸管理者に確認する必要がありますが申請書に記載するべき内容については、施行規則第4条に規定されています。
4 重要事項説明での説明
宅建業法第35条-宅建業法施行令第3条第1項第20号に規定されており、海岸法第8条第1項の内容を説明する義務があります。
海岸保全区域内において、一定の行為を行う場合には、海岸管理者の許可が必要となる旨を説明しなければなりません。
5 まとめ
いかがでしたか?
理解すると物件によっては意外と該当するかもと思いませんか?
取引にあたっては、クライアントがどのような土地利用を考えているかによって、許可が必要となる行為なのかなどの許可条件等の確認、許可に要する期間の確認や海岸保全施設の整備予定などを海岸管理者に確認しておきましょう。
海が近くにある地域では、海岸保全区域内に指定されている可能性が高いですので取引リスクを減らすためにも十分に調査しておきましょう。