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【重要事項説明】都市計画法とは別です|土地区画整理事業は土地区画整理法で担います。内容を分かりやすく解説!!

「重要事項を整理しないといけないけど、土地区画整理事業土地区画整理法)との関係が理解できない。」などの質問を受けることがあります。

イメージとしては、都市計画法(まちづくりの基礎となる法律)と建築基準法(個別の建物に関する法律)みたいな関係です。

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このでは、重要事項説明のうち「土地区画整理法」について分かりやすく解説します。

同じような内容で、都市再開発法市街地再開発事業)についても、こちらで開設しています。》》

【重要事項説明】都市計画法とは全く別です|市街地再開発事業については、都市再開発法が担います!内容を分かりやすく解説!! - OSSAN358’s ブログ

 

 

 

1 重要事項説明の対象となる土地区画整理法

重要事項説明の対象条項として定められている宅建業法施行令第3条には、土地区画整理法に関して次のように規定されています。

 

宅建業法施行令第3条第1項第六号

土地区画整理法第76条第1項、第99条第1項及び第3項、第100条第2項並びに第117条の2第1項及び第2項

それぞれについて、概要をみてみましょう。

 

法第76条第1項

土地区画整理地内において、土地区画整理事業の開始(認可公告)から換地処分(事業完了)までの間に、建築行為を行う場合には許可が必要となる。建築基準法関係規定ではない。

 

法第99条第1項・第3項

仮換地の指定の効果

仮換地(事業開始から換地処分の完了前)の土地取引においては、従前地を対象にした契約となる。

 

 

法第100条第2項

使用収益の停止

換地処分の公告までは、使用又は収益することができない。

 

法第117条の2第1項・第2項

住宅先行建設区における”住宅”の建設

住宅先行建設区が指定された場合には、指定期限(土地区画整理毎に規定)までに住宅を建設しなければならないとするもの。

 

以上が、土地区画整理が行われている土地(土地区画整理事業中の土地)における制限規定の概要です。

実務的には、法第76条第1項が最も使われるので、この法第76条第1項については、詳しく解説しておきます。

 

 

 

2  仮換地中の建築行為等の制限

土地区画整理法第76条第1項については、次のように規定されています。

 

土地区画整理法第76条

(建築行為等の制限)

第76条 次に掲げる公告があつた日後、第103条第4項の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあつては国土交通大臣の、その他の者が施行する土地区画整理事業にあつては都道府県知事(市の区域内において個人施行者、組合若しくは区画整理会社が施行し、又は市が第3条第4項の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、当該市の長。以下この条において「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。

一 個人施行者が施行する土地区画整理事業にあつては、その施行についての認可の公告又は施行地区の変更を含む事業計画の変更(以下この項において「事業計画の変更」という。)についての認可の公告

二 組合が施行する土地区画整理事業にあつては、第21条第3項の公告又は事業計画の変更についての認可の公告

三 区画整理会社が施行する土地区画整理事業にあつては、その施行についての認可の公告又は事業計画の変更についての認可の公告

四 市町村、都道府県又は国土交通大臣が第三条第四項又は第五項の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、事業計画の決定の公告又は事業計画の変更の公告

五 機構等が第3条の2又は第3条の3の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、施行規程及び事業計画の認可の公告又は事業計画の変更の認可の公告

 

要約すると、土地区画整理事業の公告開始から換地(完了公告)までの間において、当該施行区域内で土地区画形質の変更や建築物の新築等を行う場合には、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならないとするものです。

 

ポイントは3つです。

  1. 土地区画整理事業開始の公告(事業開始)から換地(完了公告)の間における制限
  2. ①の間に建築等を行う場合には、行為に着手する前に都道府県知事(市の区域内は市長)の許可が必要
  3. 制限される行為は、土地の形質の変更、建築、改築、増築、移動が容易でない物件の設置、移動が容易ではない堆積

*重量が5tをこえる物件(容易に分割され、分割された各部分の重量がそれぞれ5t以下となるものを除く。)

 

法第76条の許可は、事業期間が長期間になる土地区画整理事業について、事業の施行に支障となる行為をすることに対し、チェックするために定められています。

しかし、一度に整備が終わるわけではないので、整備が終わった仮換地中の土地で、許可を受ければ建築することができように定めた規定です。

そうしないと、事業自体が滞ってしまします。

そのような土地の売買や設計を行うことが考えられるため重要事項説明の場合には、仮換地中に建築等の行為を行う場合には土地区画整理法第76条許可申請が必要であることを説明する必要があります。

なお、仮換地図や街区整備図などは地権者や施行者が保有しているはずです。

 

【トピック】

話は変わりますが、完了後に法務局に区画整理区域内の地積測量図が登記されていないため、自治体に「測量図や境界がわかる資料をだせ。なぜ無いんだ!」と尋ねる方がいるようです。

区画整理法で地積測量図の登記は必須とされていないので、無いことの方が多いのです。ましてや組合施行の場合、自治体は事業の認可をしているだけで施行者ではありません。換地図を引き継いだとしても保管期限があります。所有者が換地図の保管をしておらず、境界の確定が必要な場合は、立ち合いをして地積測量図の作成をしましょう。

 

 

 

3 まとめ

いかがでしたか?

土地区画整理時用に関する都市計画が決定されている場合、土地区画整理法で制限がかかっている場合あるため重要事項による説明が必要なのです。

めったにあることではないかもしれませんが、イメージを持っていることが大事です。

自治体によっては、都市計画部局と窓口が異なっていることも多いので、尋ねる場合は窓口の確認から行えば「この人は理解しているな。」と一目おかれることは間違いありません。