建築確認や設計や法チェックなどのうち合わせを行っていると、よく『特定行政庁』と『建築主事』を混同している方がいます。
この違いは業務自体には大きな影響はありませんが、打ち合わせの時などに「この人は理解していないな?大丈夫?」とクライアントに不安を抱かせてしまいます。
このようなことにならないよう、今回は「特定行政庁」について解説いたします。
『建築主事』についてはコチラ〉〉
【徹底解説】法律にもでてくる建築主事とは?特定行政庁と違います。|わかりやすく解説! - OSSAN358’s ブログ
1 特定行政庁って??
特定行政庁とは、建築主事を置く区域の自治体の長(都道府県知事又は市町村の長)になります。
行っている業務は、許可行為がメインとなります。
建築主事を置かない市町村については、都道府県知事が特定行政庁となります。
これに対して、建築主事は、行政職員が任命(民間は指定確認検査機関)されます。
自治体の長(特定行政庁)と建築主事(行政職員)の違いです。
[建築基準法第2条第35号]
特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第97条の2第1項又は第97条の3第1項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。
*第97条の2第1項:市町村の建築主事の特例(上記第1項市町村の長以外)
*第97条の3第1項:特別区の特例
また、建築基準法第6条第1項第四号(小規模な建築物)の建築物のみ建築確認等を行う建築主事を置く「限定特定行政庁」の区域においては、同号の小規模建築物は限定特定行政庁、それ以外(建築基準法第6条第1項第一号〜第三号)については、都道府県知事が「特定行政庁」となり、”建築物の種類によって特定行政庁”が異なることがあります。
「特定行政庁」については、どのような事務をつかさどっているのが重要になります。
2 特定行政庁はどんなことをするの?
特定行政庁が行う事務の大枠(抜粋)は次のような感じです。
- 建築基準法第22条区域、被災市街地の建築制限区域の指定(※災害危険区域の指定は、地方公共団体となるので注意) ⇒建築基準法第22条、第84条
- 位置指定道路、みなし道路(2項・3項道路)の指定 ⇒建築基準法第42条第1項第五号、建築基準法第42条第2項・第3項
- 壁面線の指定 ⇒建築基準法第46条
- 接道義務の例外許可、道路内建築制限の例外許可 ⇒建築基準法第43条、第44条
- 用途地域内における例外許可 ⇒建築基準法第48条
- 容積率、建蔽率、絶対高さ、日影制限の例外許可
- 上記のほか、緩和規定の例外が定められている ⇒建築基準法第52条、第53条、第55条、第56条
- 総合設計許可、一団地認定、連担建築物設計認定 ⇒建築基準法第59条の2、第86条
- 仮設建築物の許可 ⇒建築基準法第85条
- 建築物の是正措置命令、仮命令、緊急措置命令、行政代執行、保安条危険な建築物等に対する措置、定期報告 ⇒建築基準法第9条、第10条、第12条
このように特定行政庁は、建築基準法に関する許認可の権限を執行することになり、建築確認審査や完了検査などを行う建築主事とは大きく異なっています。
特に、建築物の建築に関する制限に関しての大枠や例外許可等においては、特定行政庁の判断が大きくかかわっています。
建築主事が行う建築確認は特定行政庁による許可があった後に行う事務であり役割が明確です。
そのような状況なので、許認可については、特定行政庁の裁量によるところも大きく、柔軟な運用を図るため基準を公開していない行政庁もおおいのが現状です。
3 まとめ
特定行政庁は都道府県や市区町村の長
建築主事は行政組織内部の職員
という役割ですが、建築主事がいる課と特定行政庁は同じ課で運用していますから、混同してしまう方が多いのでしょう。
いかがでしたか、少しはイメージできたでしょうか!?
役割分担が理解できているだけで、あなたへの信頼が少しはあがるはずです。
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