これまでの記事でも、災害リスクが不動産の価値や生活にどれだけ重要か説明してきました。
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でも、自分自身で調べることができれば、怪しい不動産業者や営業マンに騙されることもありません。
詳細に理解する必要はまったくないのです。
少しでも意識があれば相手をけん制できますし、自己防衛になります。
ここでは、そんな災害リスクの調べ方について説明していきます。
こんにちは、OSSANです。まちづくりや都市計画に関する情報を発信しています。
1 この記事を読んで欲しいみなさん
この記事は、これから土地を購入して住宅の建築しようと考えている方向け『自然災害リスク』を知る方法をお伝えする記事です。
不動産業者の仲介を受けて土地を購入しようと考えているけど、説明が曖昧で分かりづらい。
■その土地のメリットのみしか教えてくれない。
■起きないから大丈夫としか言わない。
今の時代、このような業者は勉強不足か怪しいしかありません。
そのような時は、自分自身でも調べることは十分に可能です!
また、土地の購入はすでに持っている、決めているという方でも、災害リスクを知っておけば、災害の軽減や回避に、十分に役に立つと思います。
2 災害リスクの種類
自然災害には大きく次の種類があります。
①地震
②津波
③洪水
④高潮
⑤台風(突風)
⑥土砂災害
この中で、特に注意した方が良い災害として、生活に影響を及ぼし、かつ発生頻度が高いものは、③洪水、⑥土砂災害です。
近年、特に大きな土砂災害や洪水による被害がニュースになっているのは皆さんも承知のうえですよね。
いずれにしても、この災害リスクを減らすことが建築物のリスク低減に役立つと考えます。
①地震
日本は地震大国です。
しかし、地震に対応する、建築基準法や都市計画法が整備されてきたため、近年、建築された日本の建築物は地震に強い構造となっています。
地震被害に関してはあまり気にする必要はないと思います。
そのような中でも、次の点にに気をつけてみてください。
★軟弱地盤を避ける
液状化現象は、簡単に言うと地下水位が高くかつ砂質地盤の場合に、地震の大きな揺れによって砂と水の混じった液状物質が地上に噴出してしまう現象です。
そのことにより、建物が沈んだり、比重の軽い埋設管やマンホールが浮き上がってしまいます。
もともと水田や湿地帯、埋立地の場合は、液状化する恐れがありますので、こうしたエリアは十分調査や対策を考えましょう。
【軟弱地盤かどうかの調査方法】
・都市計画図などの古地図(地域の図書館など)
自治体が公表している液状化マップで液状化しやすい土地かどうかを判断することができます。
地域の図書館で古い都市計画図を閲覧して、もともとどのような土地だったのかを調べることで軟弱地盤かどうかの判断が可能です。
★地滑りの可能性がある土地を避ける
地滑りとはその名のとおり土地が滑ることです。
地震の揺れにより宅地自体が滑ってしまうことですが、盛土の場合に発生する可能性が非常に高いです。
よくある例としては、谷を埋めた宅地化した住宅団地です。
熱海の例は記憶に新しいですよね。
滑ってしまうと、建築物自体が使用不能になる可能性が十分にあります。
現在、国主導により大規模盛土造成地マップの公表が完了しています。
大規模盛土に関しては個人がどうこうできるレベルではないと思われますので、盛土部分の土地かどうかをマップで確認した上で、過去の大きな地震において被害があったかどうかを役所(建築指導課や開発行為を担当する部署など)に確認してみましょう。
②津波
新たに土地を購入し、その土地を使ってどのような事業を営むか、または家を建てるのかなど、目的によって災害リスクの程度は異なりますが、居住するのであれば津波被災を受ける恐れがある地域というのは十分に注意が必要です。
津波による被害は非常に大きいからです。
【津波浸水想定区域の調査方法】
津波被災を受ける可能性がある地域か、また何m程度の津波が来襲する恐れがあるのかは、津波防災地域まちづくり法に基づき、都道府県が『浸水想定区域』を公表しております。
浸水想定区域の中では、何mの浸水が想定されているのかが記載されています。
それでも、もしかしたら想定以上の津波が来る可能性は否定できません。
ちなみにですが、津波が怖いのはその破壊力です。津波は、洪水のように溢れた水が流れ出たものではなく、海底地盤の隆起による力が海に伝わり、それが津波となって押し寄せるので力の大きさが違います。
そのため、住宅の構造は津波の力を受け流すような構造等にしてリスクの低減が必要です。
③洪水
梅雨と台風時期においては発生頻度が高いとても危険な自然災害です。
近年、洪水は災害の中でも頻発・激甚化しており、重要事項説明での説明が義務づけられました。
洪水被害には、細分化すると2種類あります。
ひとつ目は河川が決壊したり溢水したりすることによる洪水です。
もうひとつ目は内水です。雨水側溝や下水道施設に想定以上の雨水が流れこむことで、処理仕切れずに道路や宅地に溢れてしまう現象です。
また、洪水については、次の2種類がシミュレーションされています。
・1,000年に一度の想定最大規模
・50〜200年程度の発生頻度である計画規模
1,000年に一度の洪水被害に対処するために土地購入を考えるなんてどうなのと思う方もいると思いますが、計画規模において被害を受けることが想定されるのであれば非常に災害リスクが高い地域とと判断できます。
【洪水浸水想定区域の調査方法】
水防法に基づき都道府県や国河川事務所が公表している『洪水浸水想定区域』を確認します。
重ねるハザードマップではすべてのハザードが可視化されています。
確認すると次の4つの種類が出てくると思います。
❶想定最大規模
❷計画規模
❸浸水継続期間
❹家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流・海岸侵食)
想定最大規模とは、その名のとおり想定される最大規模の降雨(1,000年に1度の発生確率)です。
計画規模は、概ね50〜200年に1度の発生確率の洪水です。河川の整備はこの計画で実施している箇所が多いです。土地としての災害リスクは比較的高いです。
浸水継続期間はその名のとおり洪水発生後の浸水している時間を示しています。この時間が長ければ長いほど復旧の開始まで時間を要することとなります。
家屋倒壊等氾濫想定区域は、河川の洪水により家屋の流出や倒壊を生じされる区域を明示していますので、ほぼ間違いなく避けた方が良いです。
④高潮
高潮は、低気圧により海水面が引き上げられ、さらに強い低気圧の風により大きな波となって沿岸部を襲うものです。
海水面よりも低い地域や海岸に近い地域は台風シーズンを注意が必要です。
【高潮洪水浸水想定区域の調査方法】
水防法に基づき都道府県が公表している『高潮浸水想定区域』による確認することが可能です。
⑤台風(突風)
台風は8月から10月にかけて来襲し、日本列島に甚大な被害をもたらします。
近年では海水温の上昇で非常に大きな台風が来襲しており、この傾向はますます高くなると言われています。
気象庁のホームページにて台風の上陸数を調べることが可能となっていますが、ただし、都道府県別となっており市町村名までは入っていないのであまり参考にはならないかもしれません。
⑦土砂災害
土砂災害は、豪雨や地震によって発生するものです。
土砂災害に関しては、「急傾斜地崩壊危険区域」、「地すべり防止区域」、「土砂災害特別警戒区域」3つの区域については必ず避けるようにするのが望ましいです。
いずれの区域も、法律に適合する構造等とすれば建築は可能ですが、災害リスクが高すぎるので、たとえ土地購入を決めていたとしても、辞めた方が良いのではないでしょうか?
【土砂災害等区域の調査方法】
が指定しています。
自治体のホームページで公表しているところが多いですが、土砂災害については、綿密な調査が必要です。
この3つの区域については、重要事項説明の対象となっています。
■まとめ
自然災害は、日本国内であればどの地域でも起こりえます。
災害リスクの調査については、国土交通省のサイトが便利です。
全ての災害を避けることができる土地というのはこの日本にはにはどこもありません。そのため災害リスクの回避・低減が必要なのです。
自分の身は自分で守ることも大事です。
これは、土地選びの段階からはじまっているのです。
とはいえ、考え方は人それぞれですので、リスクがあることを理解の上で購入するのであればそれでもよいでしょう。