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【OSSAN’s知恵袋】これからの都市づくりの方針!|立地適正化計画についてわかりやすく解説!!その中でも重要な居住誘導区域について。

前回の立地適正化計画の記事、

ossan358.hatenablog.com

に引き続き、今回は、立地適正化計画で設定される「居住誘導区域」の解説です。

居住誘導区域」から外れると? | 日経クロステック(xTECH)

この区域は、これからのまちづくりにとって重要な区域になり、居住者だけでなく不動産業者や投資家の方々にも理解が必須です。

 

 

 

1 はじめに

平成26年8月の都市再生特別措置法の改正以来、多くの自治体で「立地適正化計画」が作成されています。

立地適正計画は、人口減少や超高齢社会における都市のあり方を示す計画となっており、これからの都市づくりを担う重要な指針です。

 

立地適正化計画は、人口減少により、今後、郊外での開発圧力は少なくなって、都市が効率的に運営されにくくなってしまう恐れがあることから、都市機能を誘導して持続可能な都市をつくろうとするものです。

 

今後は、都市計画マスタープランとともに「立地適正化計画」を上手に使っていくことが重要となっています。

 

立地適正化計画の概念については、こちらの記事をご覧ください。

【OSSAN’s知恵袋】これからの都市づくりの方針!|立地適正化計画についてわかりやすく解説!!立地適正化計画をしらない不動産業者や営業マンは注意。 - OSSAN358’s ブログ

 

 

2 居住誘導区域とは?

①[法律における定義]による

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居住誘導区域とは、上手の青色の部分です。

具体的な定義については、都市再生特別措置法第81条に規定されています。

都市の居住者の居住を誘導すべき区域 です。

 

②[都市計画運用指針&国資料]による

[都市計画運用指針 居住誘導区域]

居住誘導区域は、人口減少の中にあっても一定のエリアにおいて人口密度を維持することにより、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるよう、居住を誘導すべき区域である。このため、居住誘導区域は、都市全体における人口や土地利用、交通や財政の現状及び将来の見通しを勘案しつつ、居住誘導区域内外にわたる良好な居住環境を確保し、地域における公共投資や公共公益施設の維持運営などの都市経営が効率的に行われるよう定めるべきである。

 

要約すると次のとおりです。

 

○人口減少下においても一定のエリアにおいて人口密度を維持

○生活サービスやコミュニティを持続的に確保

○居住誘導区域内外にわたる良好な居住環境を確保

 

つまりは、人口密度が低下している都市において、一定のエリア内の人口密度を維持して、生活サービス施設の維持を図ろうとしているのです。

更には、居住誘導区域内外のエリアの居住環境も維持し、都市運営の最適化を図ろうとするものです。

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4 人口密度があるとなぜ、生活サービス施設が維持できるの?

例えばコンビニで考えてみましょう。下の図をみてください。

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コンビニは、人口密度が概ね40人/ha、周辺人口約3,000人程度が必要とされています。

なお、この40人/haというのは市街化区域並みの人口密度です。

 

今後、地方都市で人口減少が進む中で、一定のエリアだけは人口密度を維持して、都市機能を維持し、これによって都市全体の機能がマヒしないようにすることが目的です。

 

関連して、都市機能を維持するには、「ネットワーク」の強化も重要です。

ネットワークの件については、別の記事で述べたいと思います。

 

5 居住誘導区域に指定されるのはどういった地域

法律において次のように記載されています。

 

[都市再生特別措置法抜粋]

居住誘導区域は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用及び交通の現状及び将来の見通しを勘案して、良好な居住環境が確保され、公共投資その他の行政運営が効率的に行われるように定めるものとし、都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域(以下「市街化調整区域」という。)、建築基準法第三十九条第一項に規定する災害危険区域(同条第二項の規定に基づく条例により住居の用に供する建築物の建築が禁止されているものに限る。)その他政令で定める区域については定めないものとする。

 

よく読むと、具体の基準はなく、市町村の事情で定義している部分もあるようです。

代表的には、将来(10年、20年先)においても人口密度(40人/ha)が維持されるような地域や、基幹的な駅やバス停からの徒歩圏などが指定されるようです。

なお、近年の災害の激甚化や頻発化を受け、災害などの危険性があるエリアは指定されていない傾向にあります。

 

 

 

6 届出義務が発生する居住誘導区域

居住誘導区域の外において、一定規模の開発行為(特定開発行為)や建築行為(特定建築等行為)を行う場合には、行為に着手する30日前に市町村長へ届出が必要となります。

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例:富山市


[特定開発行為]

・3戸以上の住宅の建築目的の開発行為。

・1戸又は2戸の住宅の建築目的の開発行為で、その規模が1,000m²以上のもの。

・住宅以外で、人の居住の用に供する建築物として条例で定めたものの建築目的で行う開発行為。

 

[特定建築等行為]

・3戸以上の住宅を新築しようとする場合。

・人の居住の用に供する建築物として条例で定めたものを新築しようとする場合。

・建築物を改築し、又は建築物の用途を変更して住宅等とする場合。

 

 

 

7 勧告制度・罰則に注意

勧告・[都市再生特別措置法第88条第4項]

市町村長は、第1項又は前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が居住誘導区域内における住宅等の立地の誘導を図る上で支障があると認めるときは、当該届出をした者に対して、当該届出に係る事項に関し、住宅等の立地を適正なものとするために必要な勧告をすることができる。

 

 

都市への影響を考えて判断されることが想定されるので、計画が決まった段階で、市町村に相談しましょう。

 

[罰則]

罰則については、届出をしなかった場合、虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金に処される場合があります。(都市再生特別措置法第130条第二号)

 

 

8 まとめ

現時点では、居住誘導区域が指定されたからといって、すぐさまに社会生活に影響(都市活動の効率化)するわけではなく、10年、20年先が重要となってきます。

時間をかけて緩やかに居住や都市機能を誘導してこうというものです。

しかし、その結果、将来的に誘導区域外では、現時点より生活利便性が低下する可能性はあります。

ですので、これから住宅の購入や投資しようと考えている方や不動産業者の方は、候補地が誘導区域内になっているか、確認しておいた方がいいと思われます。

 

この計画をうまく使うことが重要になります。

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