OSSANでございます。
不動産投資をされている方から、よくご質問をうけるのが「市街化調整区域」にある不動産についてです。
良い物件があるけど「市街化調整区域」なんだけど。どうなの?
価額が安くて割安なのでは!?
市街化調整区域の物件は価格の安さが魅力です。
しかし、初心者の方が扱う物件としては要注意です。
市街化調整区域の物件の購入は本当に厳選された物件以外では基本的におススメは難しいと考えています。
市街化調整区域でも入居需要を見込めれば売買するケースもありますが、入居需要の見極めや購入すべきか否かの判断は非常に難しいのです。
ここでは、市街化調整区域の概要や投資に適さない理由を整理しています。
1 市街化調整区域とは
1-1 市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、都市計画法で指定されている「市街化を抑制すべき区域」です。
ここでは、一般的な市街地に必要な住宅や商業施設の建築が原則として認められていません。
これらを建築したり増築したりする際には、開発許可が必要なのです。
イメージとしては、周囲を田んぼに囲まれているようなエリアです。
なぜ市街化調整区域を指定して市街化を抑制するかというと、無秩序に市街地が拡大することで、住みにくく非効率なまちになることを防ぐためです。市街地が広がりすぎると、学校や病院などの公的サービス施設や商業施設の立地が分散してしまい、結果的に生活の利便性が低くなります。
そのような市街地が形成されるのを防ぐために、市街化調整区域を指定しているのです。
では、全く宅地等に利用できないかというと、都市計画法が制定されて市街化調整区域として指定される以前から住宅などがあったエリアでは、一定の要件を満たせば、建物の新築や増改築が認められています。
1-2 市街化区域とは
市街化調整区域と反対なのが市街化区域です。
市街化区域とは、「市街化を活性化する区域」であり、すでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を進めていく区域を指します。
平成29年の国土交通省の資料では、この市街化区域が国土の4%しかないのに対し、人口の7割が居住しています。
つまり市街化区域は、居住地として投資整備がされている、これからもされる区域なのです。
2 市街化調整区域の物件購入をおすすめしないのは
2-1 原則として建物を建てられない土地のため、資産価値が低い
市街化調整区域における最大のデメリットが、原則として建物を建築することができないという点。
確かに許可を得れば建築可能ですが、建築可能となる条件や建築時の制限があることから、土地としての価値は低くなります。
資産価値が低いため、共同担保としても評価されにくくなりますよね。
不動産投資事業の拡大を目指す際、既に購入した物件を共同担保に設定して次の物件購入の融資を受けるという戦略もありますが、市街化調整区域の物件の場合は、担保にならない可能性もあります。
2-2 電気・ガス・水道などのインフラ整備が不十分、見込めない
市街化調整区域は、市街化を抑制する地域です。
そのため、電気・ガス・水道などのインフラ設備が不十分な可能性や見込めない可能性があります。
賃貸物件は、そうしたインフラの整備が不可欠です。
もし物件の周辺のインフラが整備されていない場合には、物件の購入価格以外にもそれらの整備費用が追加で必要となります。価格が安い件であっても、そうした費用を込みで考えれば、大してお得ではない可能性もあります。
2-3 日常生活が不便なエリアのため、賃貸需要が低い
不動産投資で得られる収入には、入居率を高めることと、家賃を高くすることが重要です。
入居率と家賃を高くするためには、端的に言えば入居者からのニーズにあった物件である必要であります。
市街化調整区域には、基本的に商業施設や公的設備がありません。
駅やスーパー、コンビニ、学校、病院などといった日常生活に欠かせない施設が遠く生活には不便であり、賃貸需要は低い傾向にあります。
また、稼働率は好調でもそもそもの家賃が低ければ、賃料収入は少額のため、大きな利益は見込めません。
2-4 売却が難しく、売買差益も狙いにくい
建築における制限や生活上の不便さから、マイホーム購入層の需要が小さく、市街化調整区域は建物を自由に建築できなかったり、生活に不便だったりすることから、そこに住みたいという需要は小さいです。
市街化調整区域の物件を売却する際には、そもそもの需要が小さいため、買い手探しに苦労します。
また、市街化調整区域の土地は資産価値が低いため、金融機関からの評価も伸びづらく、融資が出ないことが多いです。ローンを組めない物件の場合、現金で購入できる人に売却するしかありません。購入できる層はより少なくなります。
3 【要検討】市街化調整区域の投資を検討の可能性として
これまで、市街化調整区域の物件購入するのはおすすめしない理由を整理してきました。
しかし、例外として次のようなケースで投資対象として検討してもよいかもしれません。
あくまでも個人的見解も入っていますが。
3-1 割安で購入、賃料収入も期待
市街化調整区域の物件は資産価値が低いため、価格が安い場合が多くあります。インフラ整備や修繕費用等の諸費用を追加しても利益が期待できる場合は、魅力的な投資対象になります。
市街化調整区域内でも市街地区域と隣接しているエリアなどは、利便性が高い場合もあります。
3-2 少額で不動産投資に取り組みたい
市街化区域の物件を購入できるような資金が無い方、少額で不動産投資に取り組みたいという方には、市街化調整区域の格安物件に投資するという選択もあります。
3-3 長期的に保有することを想定
市街化調整区域の物件は、格安で購入できるためかなりの収益が期待できるケースもあります。そのような物件であれば、稼いで投資回収するという戦略も有効です。
4 さいごに
これから人口減少・高齢化が進展していくなかで、既に宅地は十分に供給されています。
市街化区域内でも空き家や空き地がランダムに発生していきます。当然、市街化調整区域では、もっと発生することになります。
これから先、都市を維持するためには、国や自治体がどこに投資していくかは明白です。不断の決断が行われる可能性もあります。
そのようなときに市街化調整区域の物件の魅力や価値を将来にわたってどう判断するかです。
田舎でゆっくりという生活を選ぶのも自由です。
でも投資としてはどうでしょう?