OSSAN358’s ブログ

OSSANの日々の雑記ブログです

【OSSAN’s知恵袋】不動産業者や宅建士、投資家のみなさんにわかっておいて欲しい。地域地区で最も分かりにく『緑地保全地域』と『特別緑地保全地区』をまとめてわかりやすく説明します!

OSSANです。

地域地区シリーズも最終段階になってきました。

今日は、その中でも緑に関する規制で表現が似ていてわかりにくい『緑地保全地域』と『特別緑地保全地区』について、できる限りわかりやすく説明します。

それでは・・・

 

ossan358.hatenablog.com

 

1 緑地保全地域制度

里地・里山など都市近郊の比較的大規模な緑地において、比較的緩やかな行為の規制により、一定の土地利用との調和を図りながら保全する制度になります。 (都市緑地法第5条)

 

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1)制度の概要

指定用件

指定の要件は次のいずれかです。

  • 無秩序な市街化の防止又は公害若しくは災害の防止のため適正に保全する必要があるもの
  • 地域住民の健全な生活環境を確保するため適正に保全する必要があるもの

 

指定主体

緑地保全地域は、都市計画法における地域地区として都道府県(市の区域内にあっては、当該市)が計画決定を行います。

緑地保全地域の都市計画が定められた場合、都道府県又は市は当該緑地保全地域内の緑地の保全に関する計画(「緑地保全計画」)を定めます。

 

緑地保全計画

計画では、次の内容を定めます。

 行為の規制又は措置の基準

 

※緑地の保全に関連して必要とされる施設の整備に関する事項

※管理協定に基づく緑地の管理に関する事項

※その他緑地保全地域内の緑地の保全に関し必要な事項

注)※についても、定めることができます。

 

行為の規制

緑地保全地域に指定されると、次の行為を行う場合に、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)への届出が必要になります。また、原則、届出後30日は行為の着手は不可となります。

  • 建築物その他工作物の新築、改築又は増築
  • 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
  • 木竹の伐採
  • 水面の埋立て又は干拓
  • 屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積 など

注:公益性が特に高く緑地の保全上著しく支障を及ぼすおそれのない一定の行為や、計画決定の際に既に着手していた行為、非常災害の応急措置等についてはこの限りではありません。都道府県知事、又は市の長は、緑地の保全のため必要があると認めるときは、緑地保全計画で定める基準に従い、行為の禁止若しくは制限、又は必要な措置を講ずることを命令することができます。(原則として届出後30日以内。)

 

2)指定のメリット

緑地保全地域の指定には、土地所有者にとって次のようなメリットがあります。

  • 管理協定制度を併用することにより、管理の負担を軽減することができます。
  • 市民緑地制度を併用することにより地域の自然とのふれあいの場として活用を図ることができます。

 
2 特別緑地保全地区制度

都市における良好な自然的環境となる緑地において、建築行為など一定の行為の制限などにより現状凍結的に保全する制度です。

これにより豊かな緑を将来に継承することができます。

都市緑地法第12条)

首都圏近郊緑地保全法第5条)

近畿圏の保全区域の整備に関する法律第6条)

 

1)制度の概要

指定用件

指定の要件は次のいずれかです。

  • 無秩序な市街化の防止、公害又は災害の防止のため必要な遮断地帯、緩衝地帯又は避難地帯として適切な位置、規模及び形態を有するもの
  • 神社、寺院等の建造物、遺跡等と一体となって、又は伝承若しくは風俗習慣と結びついて当該地域において伝統的、文化的意義を有するもの
  • 次のいずれかに該当し、かつ、当該地域の住民の健全な生活環境を維持するために必要なもの

    • 風致又は景観が優れているもの
    • 動植物の生息地又は生育地として適正に保全する必要があるもの

 

指定主体

 

行為の制限

特別緑地保全地区に指定されると、次の行為を行う場合に、都道府県知事(市の区域内にあっては当該市長)の許可が必要になります。

  • 建築物その他工作物の新築、改築又は増築
  • 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
  • 木竹の伐採
  • 水面の埋立て又は干拓
  • 屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積 など

公益性が特に高く緑地の保全上著しく支障を及ぼすおそれのない一定の行為や、計画決定の際に既に着手していた行為、非常災害の応急措置等についてはこの限りではありません。

 

土地の買入れ
  • 土地所有者が行為の制限を受けることにより、土地の利用に著しい支障をきたす場合、都道府県知事(市の区域内にあっては当該市長)に対して、その土地を買入れる旨申し出ることができます。
  • この場合、市町村、都道府県あるいは緑地管理機構がその土地を買入れます。
  • 地方公共団体は、土地の買入れ費用や買い入れた土地の保全利用にあたり必要な施設の整備費用について、国の社会資本整備総合交付金を活用することができます。

 


2)指定のメリット

特別緑地保全地区の指定には土地所有者にとって次のようなメリットがあります。

  • 次の優遇税制により、土地の所有コストを軽減できます。
    • 相続税:山林及び原野については8割評価減となります。
    • 固定資産税が最大1/2まで減免されます。
  • 建築行為等の申請が不許可となった時に土地の買入れを申し出ることができます(都市緑地法第17条)。譲渡所得には2,000万円の控除が適用されます。
  • 管理協定制度を併用することにより、管理の負担を軽減することができます。
  • 市民緑地制度を併用することにより地域の自然とのふれあいの場として活用を図ることができます。